佐竹茂市(横山隆一記念まんが館館長):
私は「まんがによるまちおこし」というのは、単純な公式を言えば「県内外から人に来てもらう」ことだと思います。とにかく人に来てもらう、人が来てくれる、人が動けば金が動くと、こういう公式があるんじゃないかと思います。
このまんが館の若干の経緯ですが、1994(平成6)年に日本の現代まんがの基礎を作った横山隆一さんが文化功労者に選ばれ、同時に、高知市、鎌倉市の名誉市民になられました。すでに85才になっておられまして、先生もご自分の膨大な作品だとか珍しいコレクションをどう始末しようかと自分なりに考えておられたようです。これを私ども高知市の横山先生を敬愛する人たちが聞きつけまして、高知が是非これをいただいてそれを核にして文化事業にしたいと提案しました。それを県ではなくて、高知市に提案をしました。たまたま松尾市長は県にもおられてまんが甲子園の立ち上げにも関与されたということで非常に期待があって、即断即決、英断をもって決めていただいて事業が進みだしました。それから大方8年かかって、昨年4月開館いたしました。
事業の目的は4つぐらいあります。もちろん横山先生の事業、作品を顕彰するということ、地元高知県はとにかくまんが家がいっぱい出てますから、こういうまんが資源を顕彰し、活用させてもらわないかん。タイアップという形で、後進を育成してもらうこと。さらに、まんが研究の一つのメッカにもしようということ。もう一つは、これは私がやや個人的に動機付けをしたのですが、まんがによる国際交流を地方同士でやろうということです。
2002(平成14)年度は、開館事業として「漫画集団展」など企画展を5回やりました。来年度は「フランスコミック・アート」展という企画展、そして、まんがによるまちおこし事業がいよいよ動き出します。その核として、市民の方で作られた「まんがによるまちおこし事業検討委員会」で事業計画を作っていただいております。4月には花見をしようじゃないか、少し固いのでは、まんが館を活用した教育をやろうと、そんなことが具体化してます。
私が一番頭が痛いのは来館者数のことで、年間でも10万人を多分切るだろうと思います。ただあまり最初に打ち上げすぎて、後が減ってはいけない、文化事業というのは長続きしないといけないと思います。これから外向きの企画営業を、学校とか観光会社とかに働きかけて団体客を呼べば、かなり安定したお客さんに見にきてもらえるんじゃないかと思っています。石ノ森萬画館は素晴らしい経営のやり方をしておられると思います。私も産業界に長いこといたから独立採算ができる、それが理想的だと思うんです。だけども、公立で、それをどこかに委託してやってる場合には、どうしても県民市民サービスを優先しますから、収支を均衡させるのには限度があります。そうは言いながらもできるだけ収入を増やすというのが課題だと思っています。
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