高知出版学術賞

優れた学術研究の振興は、文化や出版の向上のみならず、広く高知県の発展に貢献するところが大であると考えます。「高知出版学術賞」は、当該年における最も優れた学術出版を顕彰することによって、学術研究の振興を図り、県勢の進展に資することを目的とします。

第30回高知出版学術賞 受賞作品

このたび第30回(2019年)の出版学術賞1点・特別賞1点が決定しましたので、お知らせいたします。
受賞作品についての講評は、令和2年5月発行の「文化高知215号」に掲載予定です。

対象:高知県在住者の学術的著述または高知県に関する学術的著述で、2019年1月1日から12月31日に発行(奥付の日付による)されたもの

◎出版学術賞

『 土佐の山城 山城50選と発掘された23城跡 』
松田 直則 編/ ハーベスト出版刊
執筆者 松田直則・大原純一・尾﨑召二郎・宮地啓介・吉成承三

(審査評抜粋)

……城跡からの様々な検出遺構や出土遺物などから各城の出現・機能の時期を考察・推定・比較していることから、城郭遺構関連用語に不慣れな一般読者にとっては通読するのが難しいと感じられる部分があるかもしれない。しかしいったん城(跡)に興味を持ち、遺構関連用語にも通暁し始めた読者には、本書は便利なガイドブック以上の、土佐の山城についての貴重な資料集となる。また、三章の発掘調査された中世城郭の内容も充実しており、四章では今後の研究の方向性も示唆されており、参考文献も整備され学術的にも優れている……


特別賞

『 大学的高知ガイド-こだわりの歩き方 』
高知県立大学文化学部 編 / 昭和堂刊

(審査評抜粋)

……各トピックに関連する歴史的、政治経済的、文学・文化的、及び地理的など、様々な背景的知識も随所で紹介されているだけでなく、引用文献も掲げられており、索引もあり、情報発信源として信頼できる。(略)本書を手に取り読み始めれば「土佐の高知には、こんなにも豊かな文化・歴史があったのだ!」と気づかせてくれること必定の好著である。県民はもちろん、県内の大学生、高校生そして中学生にも読んでもらいたい一冊と言える。……


高知出版学術賞要綱

1.目的優れた学術研究が、地域の発展と文化の向上にとって極めて重要であることから、これの振興を図るとともに市民の教養に資する目的をもって「高知出版学術賞」を設ける。
2.対象① 高知県内に在住する者の学術的著述、または他県在住者で高知県に関する事項をテーマにした学術的著述であること。
〔注〕学術的な著述であればジャンルは問わない。啓蒙書、入門書、概説書はもちろん、記録、調査等も含む。ただし、エッセイ等は内容により判断する。詩歌・小説等の文芸作品および特定の研究者のみが理解可能な高度の専門書は除く。

② 当該年内に発行したもので、書冊としての体裁を備えた単行本であること。
〔注〕対象は単行本とし、雑誌・紀要等の定期刊行物やパンフレット類は除く。全集等、複数刊のものは完結した時点を審査対象とする。
発行の形式は問わないが、非売品の場合は希望する者にある程度頒布が可能なものであること。

③ 重賞はさまたげない。

④ 高知市文化振興事業団内の審査委員会に推薦されたものであること。
3.審査
① 審査は、「高知出版学術賞審査委員会」が行う。

② 審査委員は7名~10名とし、高知市文化振興事業団理事長が委嘱する。審査委員の任期は1年とする。
ただし重任をさまたげない。
〔注〕審査委員は7名を基本とし、必要に応じ増員する。

③ 審査委員の著述が審査の対象となったときは、当該審査委員は審査に加わることはできない。

④ その他審査委員会に必要なことは、審査委員会で定める。
〔注〕審査委員会に権威を持たせ、審査の厳正を期したものとする。
4.表彰① 表彰は、高知出版学術賞を3点以内とし、それぞれに賞状と賞金10万円を贈る。
特別賞を1点以内とし、賞状と賞金5万円を贈る。

② 表彰対象者は著者または編者とする。

③ 表彰は3月下旬に行う。
5. 推薦 推薦は自薦・他薦を問わない。
推薦図書名、著者・編者氏名、出版社名、推薦理由、推薦者の住所・氏名・電話番号を記した推薦書に、該当図書3部を添え審査委員会へ提出のこと(提出図書は、申し出により審査後に2部まで返却する)。

高知出版学術賞受賞一覧

【第1回=1990年】
『今井貞吉』間宮尚子著 高知市民図書館刊
『中浜万次郎集成』川澄哲夫編 小学館刊
『記者兆民』後藤孝夫著 みすず書房刊

【第2回=1991年】
『中岡慎太郎全集全一巻』宮地佐一郎編 剄草書房刊
『MRI of the Central Nervous System』森惟明著 Springer-Verlag刊
『土佐藩主山内家歴史資料目録』高知県教委文化振興課編 高知県教育委員会刊

【第3回=1992年】
『鹿持雅澄研究』小関清明著 高知市民図書館刊
『土佐自由民権運動史』外崎光広著 高知市文化振興事業団刊
『高知共立学校資料集』土佐女子高等学校編 土佐女子学園刊

【第4回=1993年】
『日本原色カメムシ図鑑』安永智秀・高井幹夫・山下泉・川村満・川澤哲夫著 全国農村教育協会刊
『高知県定置網漁業史』岡林正十郎著 私家版
『万世一系王朝の始祖神武天皇の伝説』廣畑輔雄著 風間書房刊

【第5回=1994年】
『ものがたり考古学』岡本健児著 高知県文化財団刊
『西原清東研究』間宮國夫著 高知市民図書館刊
『土佐自由民権運動日録』土佐自由民権研究会編 高知市文化振興事業団刊

【第6回=1995年】
『四国西南沿海部の先史文化-旧石器・縄文時代』木村剛朗著 幡多埋蔵文化財研究所刊
『「国際化」時代の山村・農林業問題-再建への模索・高知県からの報告』高知県緑の環境会議山村研究会鈴木文熹・依光良三・川田勲・飯国芳明著 高知市文化振興事業団刊
『四国のキノコ』近安和雄著 高知新聞社刊

【第7回=1996年】
『近世鉱山社会史の研究』荻慎一郎著 思文閣出版刊
『萱野長知研究』崎村義郎著 久保田文次編 高知市民図書館刊
『俗信のコスモロジー』吉成直樹著 白水社刊

【第8回=1997年】
『土佐自由民権を読む』松岡僖一著 青木書店刊
『DNAがわかる本』中内光昭著 岩波書店刊
『今村楽歌文集』竹本義明編著 土佐史談会刊

【第9回=1998年】
『図説日本の変形菌』山本幸憲著 東洋書林刊
『山本正美裁判関係記録・論文集-真説「三十二年テーゼ」前後』山本正美著 山本正美裁判関係記録・論文集刊行委員会編 監新泉社刊
『洋学の書誌的研究』松田清著 臨川書店刊

【第10回=1999年】
『中江兆民』飛鳥井雅道著 吉川弘文館刊
『人と自然と四万十川民俗誌』野本寛一著 雄山閣出版刊
『森と環境の世紀-住民参加型システムを考える』依光良三著 日本経済評論社刊2

【第11回=2000年】
『土佐藩戊辰戦争資料集成』土佐藩戊辰戦争資料研究会(代表林英夫)編 高知市民図書館刊
『ニタリクジラの自然誌-土佐湾にすむ日本の鯨』加藤秀弘編著 平凡社刊
『万葉集を読む』(上・下巻)浜田清次著 浜田清次刊

【第12回=2001年】
『こどもの感染症ハンドブック』脇口宏・友田隆士編 医学書院刊
『以布利黒潮の魚-ジンベエザメからマンボウまで』中坊徹次・町田吉彦・山岡耕作・西田清徳編 大阪海遊館刊
『土佐のカツオ漁業史』「土佐のカツオ漁業史」編纂事務局編 高知県中土佐町刊

【第13回=2002年】
『精神保健福祉実践ハンドブック』住友雄資責任編著 日総研出版刊
『西園寺公望と明治の文人たち』高橋正著 不二出版刊
『歌舞伎・俄研究』佐藤恵里著 新典社刊

【第14回=2003年】
『砂漠化と戦う植物たち-がんばる低木』徳岡正三著 研成社刊
『ヤナセスギの森から-高知県の林業をおもう』永森通雄著 飛鳥刊
『自由民権運動と女性』大木基子著 ドメス出版刊

【第15回=2004年】
『ナショナリズムと自由民権』田村安興著 清文堂出版刊
『幕末洋学教育史研究-土佐藩「徳弘家資料」による実態分析』坂本保富著 高知市民図書館刊
『人間の輪郭-共生への理念』武藤整司著 不二出版刊

【第16回=2005年】
『海と湖の化学-微量元素で探る』宗林由樹・一色健司編 京都大学学術出版会刊
『山村環境社会学序説-現代山村の限界集落化と流域共同管理』大野晃著 農山漁村文化協会刊
『高知の女性の生活史-ひとくちに話せる人生じゃあない』高知の女性の生活史作成実行委員会編 こうち男女共同参画社会づくり財団刊

【第17回=2006年】
『街道の日本史47土佐と南海道』秋澤繁・荻慎一郎編 吉川弘文館刊
『神経心理学-認知・行為の神経機構とその障害』八木文雄著 放送大学教育振興会刊
『ここまでわかったアユの本-変化する川と鮎、天然アユはどこにいる?』高橋勇夫・東健作著 築地書館刊

【第18回=2007年】
『歴史家の遠めがね・虫めがね』髙橋昌明著 角川学芸出版刊
『幻の鶏土佐ジロー20歳-スーパーブランドへの軌跡』掛水雅彦著 高知新聞社刊
『ケルトふたたび-新生アイルランドをめぐって』澤村榮一著 南の風社刊

【第19回=2008年】
『ユズの香り-柚子は日本が世界に誇れる柑橘』沢村正義著 フレグランスジャーナル社刊
『土佐派の家PARTIII-美しく住まうために』山本長水+土佐派の家委員会著 「土佐派の家」出版委員会刊
『水をめぐるガバナンス-日本、アジア、中東、ヨーロッパの現場から』蔵治光一郎編 東信堂刊

【第20回=2009年】
『寺田寅彦バイオリンを弾く物理学者』末延芳晴著 平凡社刊
『土佐の盆踊りと盆踊り歌』井出幸男・公文季美子著 高知新聞社刊
『二人の特攻隊員』大西正祐著 高知新聞企業刊

【第21回=2010年】
『古墳時代の埋葬原理と親族構造』清家章著 大阪大学出版会刊
『板垣退助君伝記』(全4巻)宇田友猪著 公文豪校訂 安在邦夫解説 原書房刊
『サゴヤシ-21世紀の資源植物』サゴヤシ学会(編集委員長山本由徳)編 京都大学学術出版会刊

【第22回=2011年】
『谷干城-憂国の明治人』小林和幸著 中央公論新社刊
『いざなぎ流の研究-歴史のなかのいざなぎ流太夫』小松和彦著 角川学芸出版刊
『「方言コスプレ」の時代-ニセ関西弁から龍馬語まで』田中ゆかり著 岩波書店刊

【第23回=2012年】
『北上して松前へ-エゾ地に上陸した豪州捕鯨船』ノリーン・ジョーンズ著 北條正司/松吉明子/エバン・クームズ訳 創風社出版刊
『長宗我部氏の研究』津野倫明著 吉川弘文館刊
『最新・高知の地質大地が動く物語』鈴木堯士・吉倉紳一編 南の風社刊

【第24回=2013年】
『「坂本龍馬」の誕生-船中八策と坂崎紫瀾』知野文哉著 人文書院刊
『土佐ことば辞典』『土佐ことば-優れた独特の言語』(2冊)吉川義一著 南の風社刊
『風聞異説』松岡周平著 クリケット「季刊高知」編集部刊

【第25回=2014年】
『四国の野生を主とした樹木[県別分布・写真編]』中澤保著 私家版
『京大東洋学者小島祐馬の生涯』岡村敬二著 臨川書店刊
特別賞
『MAKINO-牧野富太郎生誕150年記念出版』高知新聞社編 北隆館刊

【第26回=2015年】
『安さんのカツオ漁』川島秀一著 冨山房インターナショナル刊
『海底マンガン鉱床の地球科学』臼井朗・高橋嘉夫・伊藤孝・丸山明彦・鈴木勝彦著 東京大学出版会刊
特別賞
『泣くのはあした-従軍看護婦、九五歳の歩跡』大澤重人著 冨山房インターナショナル刊

【第27回=2016年】
『谷崎潤一郎と芥川龍之介-「表現」の時代-』田鎖数馬著 翰林書房刊
『宮本常一と土佐源氏の真実』井出幸男著 梟社刊
特別賞
該当なし

【第28回=2017年】
『高知の部落史』高知県部落史研究会編 解放出版社刊
『薬害エイズ事件の真相』長山淳哉著 緑風出版刊
特別賞
『来者の群像大江満雄とハンセン病療養所の詩人たち』木村哲也著 編集室水平線刊

【第29回=2018年】
該当なし
特別賞
『龍馬暗殺』桐野作人著 吉川弘文館刊