第13回まんがの日記念・4コマまんが大賞 受賞者決定のお知らせ

2015まんが大賞オモテ

第13回まんがの日記念・4コマまんが大賞は2017年4月14日(金)から9月5日(火)までの期間で応募を受け付け、本年は40都道府県とオーストラリアから合わせて847人、1,166点の応募があり、高知出身まんが家の矢野徳さんと、くさか里樹さんが審査した結果、一般部門7点、ジュニア部門(小学生以下)7点、計14点と学校賞2校(江戸川区立二之江第三小学校、高知市立一宮小学校)が決まりました。

受賞作品と一次予選通過作品は12月2日(土)より開催される「第13回まんがの日記念・4コマまんが大賞作品展」にて展示され、表彰式は11月4日(土)に高知市文化プラザかるぽーとで開催する「まんさい-こうちまんがフェスティバル2017」の中の、7階第1・第2展示室内の特設ステージで12時30分から行う予定です。


【一般部門】

フクちゃん大賞「銭湯」
中尾忠明

絵がうまい!煙や古びてゆく煙突の描写や美しい空!SOSの煙雲のワンポイントの赤も見事!小さくなってゆく煙雲がさびれてゆく銭湯を表現していて、何やら切なくなります。 老いてゆく男の哀歌でもある。達人の作品ですね!(矢野)
銭湯の煙突を通して時代や人生について哲学させてしまう、味わい深い作品でした。(くさか)

市長賞「節約」

高知市長賞「節約」
枡田善久

四コマ漫画の基本の「起承転結」の見本のような作品です。三コマ目の「転」で「これは何だろう」と思わせて「オチ」でしめくくるウデ前がすばらしい!絵が的確でムダがないのもグー!(矢野)
まず、この幅のペーパーで拭く様子を想像して笑いました。プチ・リベンジは円満の秘訣?ある意味息のあった夫婦劇場ですね。(くさか)

一般やなせ兎賞「雲」

やなせ兎賞「雲」
西脇幸司

絵が美しい!空がまだらなのが、何やら不気味なムードをかもし出しているのが効果的ですね。ミサイルが飛んでいて、次の瞬間の大惨事がウソの様に、何事もなかったかの様な静けさがスゴイですね!単純化した絵が美しい!(矢野)
極悪悲惨極まりない戦争の影を、これでもかというくらい静かに表現したところに凄みを感じます。(くさか)

よさこい賞「お手本」
相澤拓

ヘビが習字のお手本になっているという意外性!思わずヘビの姿をなぞって見てしまいます。一点一画をもおろそかにしない絵に感心します。そしてよう見ていると何だか息苦しくなるほどの描き込みが迫って来ます。息ヌキのできる所を作ると見る方もホッとできそうです。(矢野)
こちらの想像力を試されるような作品ですね。ヘビがお手本になっているかどうかは、読者が頭の中で視点をずらしてみなければわからない、という手の込んだ珍しい作品です。(くさか)

よさこい賞「世渡り上手」
辰巳日花里

めずらしいオッド・アイ、いわゆる金目・銀目猫の可愛い姿が実は…というミステリアスなオチとのギャップがインパクト満点!タイトルの「世渡り上手」というのが、「やるもんだねぇ」的です。ネコをかぶった猫の正体!おもしろい!(矢野)
アイディアも抜群ですが、寝静まった深夜の感じや鏡に映るニャンコに当たるライトなど、絵での表現がとてもうまい。

よさこい賞「生きたい」
野上祐希

三コマ目で突然、脚が生えて、何と!海へ向かっているのだ。この生きたいという強烈な想いが、切なく、いとおしいですね!食べるという事は、他の命をいただく事であると気付かさせてくれる作品でもあります。砂浜は小さな点がびっしり描きこまれているのもスゴイ!(矢野)
これは魚の見ている夢なのでしょうか…胸締め付けられるブラック・ファンタジーですね。(くさか)

よさこい賞「これまでに経験したことのない落雷」
浅沼ひろゆき

絵がウマイ!三コマ目で「雷雲」の中から「あっ」と声がしているのが見事!オチの壮大なインパクトで思わず笑ってしまう意外性がすばらしい!タイトルが少し長すぎるのがチョンボです。(矢野)
このままTシャツにしてほしいくらい完成度の高い作品です。一番の魅力はスケールの大きさですね。(くさか)





【ジュニア部門】

Jr大賞「ニュートン」

フクちゃん大賞「ニュートン」
喜久山さく

絵がとっても上手です。ニュートンもちゃんとニュートンらしく描けている!赤いリンゴの動きが自然でリズミカルです。猿が落ちて来たのが笑えます。猿の表情とニュートンの表情がユーモラスで見事です。色彩がとても美しい!タイトルの青リンゴもいいセンスです。「猿も木から落ちる」はひょっとしたらニュートンの言葉かもね!(矢野)
まるで外国のプロの作品のようです。絵もコマ運びのリズムもムダがなくてすばらしい。「万有引力の法則」をオチにも生かしているところがすごい!(くさか)

高知市長賞「世界陸上」
福岡紀子

絵が上手!動きがよく描けているし、ナマケモノもちゃんと描けている。ナマケモノのゼッケンナンバーがゴクローサンになっているのも楽しいですね。他の人がフライングして「高知市長賞」になった訳ではありません。実力です!(矢野)
足が遅い動物の代表といえば「カメ」ですが「ナマケモノ」を使うなんてびっくりです。全員が失格になるまでの様子を、説明しすぎず短いセリフでしっかり伝えています。すごいテクニックです!(くさか)

やなせ兎賞「跳べ!!」
小坂優絆

「跳べない」をくり返すリズミカルな作品でつい引きこまれちゃいます。先ず、四本脚の色あざやかな奇妙な鳥でなんだろう?と思わせ、理由へつなげてゆくのが楽しいですね。「すごくおもい」「つうき性がよい」ともっともらしい理由をつけているのが笑えます! 「跳べ」は「飛べ」の方がよかったかもね。(矢野)
「不思議な生き物」という理科の授業を受けてるみたいでわくわくします。羽から空気がぬけると飛べないってところも、専門家の意見を聞いているようでおどろきました!(くさか)

よさこい賞「うでがすごーい」
田岡拓人

ナンセンスなアイディアですね!アニメにすると効果的な気がする作品です。「3分後」と文字で書いているのは、おしいねぇ。ここへ「うでどなってんのー」の人物を入れると良かったかもね。ウデがすごく曲がっているのがグー!です。(矢野)
まんがって、なんて自由で楽しいんでしょう。何が「あっち」なのか書いてないからよけいにおもしろい!(くさか)

よさこい賞「えん筆とキャップ」
田代瑠那

筆箱の中にもこんなドラマがくりひろげられてるのが楽しいね!絵が判りやすく描かれているのがグーです!オレンジ色のバックのタッチが動いているのが、ドラマチックですね。よく見ると赤エンピツちゃんは美人だね!黒エンピツ君のホッペがポーッと赤くなってるのもいいねえ!(矢野)
みんな持ってる筆箱というありふれたものにこんな物語を想像できれな毎日楽しいですね。オシャレなカレシの登場にモヤモヤっとするえん筆くん。恋の行方が気になりますね!(くさか)

よさこい賞「エコルさんがころんだ」
西本百花

「だるまさんがころんだ」式エコ問題の作品ですね。ふり返って見る目だけ描いて「じろ~」という表現もおもしろい。「地球がきれいになるまで」とメッセージがいいですね。「永久につづきます」というのが悲しいです。(矢野)
「エコル」さんは「エコ活動をする」を略した「エコる」からきた名前かな?地球を汚すとたたられそうな恐怖映画みたいで、強く心に残ります。こんなエコ作品見たことないです!(くさか)

よさこい賞「将来の夢」
岡崎未来

おもしろい!!コントを見るような楽しさですね。四コマ目の先生のヒックリカエッテいる姿がキマっています。しかし、この作品は絵がなくて、文字だけでもOKというのがモッタイナイですね。せめて、「子だくさん」になっている姿や仕事をしている姿、私の老後の絵にすればよかったかもね。言葉だけでアイディアを考えないようにしてみてね。(矢野)
老後は子供にめんどうをみてもらうという個人的な夢じゃなくて、少子高齢化が社会におよぼす影響を描いた「社会風刺まんが」ってところがすごい。前、後ろ、横と視点を変えた絵もおみごと!(くさか)


【総評】
今回も面白いものが多々、選ぶのが大変だった。レヴェルが上がっているのが感じられ、嬉しく思いました。
気になったのは、もう一工夫すれば面白い作品になると思われるものがけっこう多く、その事に気付いてほしいと思い乍ら、それぞれにアドバイスする事ができないモドかしさがつきまとった事でした。
アドバイスとしては「4コマの名作を沢山見て、その息づかいを感じる事」です。
「聴いているだけで英語が話せる様になる」てな方式です。分析できれば、尚よろし!です。
ジュニア部門でも、面白いものが多く、大賞の「ニュートン」なぞは、とても小学五年生が描いたとは思えない完成度です。
面白い作品が多く選ぶのが大変だったが、文字通り「嬉しい悲鳴」であった。(矢野)

 

これはすごいことですよ!「ネタかぶり」つまり同じようなアイディアの作品が複数あるのが公募作品の常ですが、それがほとんどなかったのです!いったいどういうことでしょう!?
笑いのツボや着眼点など、自分の感性をありのままに、リラックスして、楽しんで描いているということでしょうね。
それだけに選考はとても難しかったです。
しかし、いかに楽しんで描くとはいえ、漫画作品を仕上げて実際に応募するまでにはたくさんの壁があります。
それを乗り越えてチャレンジしてくださったみなさん、ほんとにありがとうございました。
そして、受賞者のみなさん、おめでとうございます。(くさか)