共生社会の実現に向けた舞台芸術創造事業
多田淳之介 演出「真夏の夜の夢」

事業報告

開催日時2025年10月26日(日) 14時開演
会場高知市文化プラザかるぽーと 四国銀行ホール
来場者数410名

障害の有無や社会的立場などの枠を取り払い、参加者の個性を活かした舞台芸術作品を制作する「共生社会の実現に向けた舞台芸術創造事業」。3作目となる今回は、国内外で活躍する演出家・多田淳之介さんを迎えての創作となりました。
舞台に立つのは公募により集まった29名の市民キャスト。彼らを支える9名のサポーターも活躍してくれました。加えて多田さんから「高知の表現者と一緒に作品を作りたい」との声を受け、音楽にハナカタマサキさん、振付に山﨑モエさん、演出補佐に藤岡武洋さん、衣裳に松岡美江さんという、各分野で活躍する高知のアーティストにも参加いただきました。
作品はシェイクスピアの「真夏の夜の夢」をノンバーバル(非言語)で上演するというもの。多田さんからは本公演の出演者や制作環境について以下のコメントをいただきました。

【出演者について】
「本当にみなさん素晴らしかった。セリフがないということもあり、舞台上のその瞬間瞬間のコミュニケーションを大切に演じてくれて、表現する身体の魅力に感動する日々でした。視覚や聴覚に障害があってもなくても、車椅子に乗っていようとも、その人その人の表現の素晴らしさがそのままそこにある、何かができないことが何かの妨げにならない、いまここに障害はない、ということをその場にいる人たちで共有している、貴重な現場でした。」

【制作環境について】
「稽古場にも常にUDトーク(音声を文字表示するアプリ)の画面と、タブレットと、手話のできる方も常に数名いて、稽古に来られない出演者の代役もサポーターの方がしっかり務めてくれて、高知のこの環境は全国的にも最先端と言えるんじゃないでしょうか。上演にも音声ガイド、字幕タブレット、英語字幕タブレットがありました(音声ガイド聞きたかった!)。この環境ができるまでの高知の皆さんの取り組みにはリスペクトしかありません。本当に貴重な現場を任せていただいてありがとうございました。また皆さんとご一緒できるよう精進いたします。」

3週間という、市民参加公演としては異例の短期間での創作となりましたが、これまで事業団が培ってきた経験や、市民の皆さんとの関係が結実した公演になったのではないでしょうか?これからも作品制作を通じて、皆さんと共に歩んでいきたいと思います。


アンケートより

・言葉無しでここまで表現できることにびっくりしました。また全力でやることで相手に伝えたい思いを伝えられることを改めて知れて仕事に活かしたいと思いました。楽しかったです。
・様々な人、どんな背景や事情があっても演技を楽しめる、好きなことに没頭できる、そんな姿がステキだと思った。自分の限界を自分で決めない!
・生命を感じることができる舞台でした。ありがとうございました。



今も多くの人に愛される、ウィリアム・シェイクスピアの名作「真夏の夜の夢」を障害の有無や社会的立場などの枠を取り払い、個性溢れる参加者と共に上演します。
あえてセリフを使わず身体表現を中心に創り上げる、恋の喜劇をお楽しみください!


演出家より

今から約400年前、日本では江戸時代のイギリスでシェイクスピアが活躍していた頃は、いかに役の心情を巧みな言葉で表現するかが演劇の醍醐味でした。さらに当時は電球もなければ劇場も野外で観客も出入り自由、そのため今が朝なのか夜なのか、場所がどこなのか、前半のあらすじもセリフに取り込まなくてはいけませんでした。
今の私たちが読むとセリフが長かったり、表現が大袈裟だと感じるのは当たり前で、国も時代も上演の背景も違う戯曲を上演するにはかなり工夫が必要です。
今回の上演では、そのセリフを全て動きだけで表現します。単なるジェスチャーではなく、シェイクスピアの情報量の多いセリフならではの、出演者それぞれの身体表現を使って一風変わった演劇を作ります。
出演者とサポーターの方全員とお会いして、みなさんそれぞれ個性的で、表現することに生きる希望を感じている方ばかりでした。シェイクスピア劇はシンプルなストーリーも魅力です。シンプルで楽しい物語、豊かな身体表現による生きる希望に溢れた上演に、ぜひご期待ください。

多田淳之介
演出家。東京デスロック主宰。
古典から現代戯曲、詩、ネット上のテキストなど様々な題材を用いて舞台上のリアルな身体性、観客の現代社会に於ける当事者性を追求し、舞台と客席の隔てのない作品、観客参加型、ツアー型の上演など観客も含めたその場のアクチュアリティにフォーカスした作品を発表する。
創作活動と並行して公共劇場の芸術監督や自治体のアートディレクター、フェスティバルディレクターを歴任。全国の劇場や学校、地域施設でのこどもからシニア、外国人、障害のある方など様々な人々との創作やワークショップ、アートによる地域課題への取り組みを実践している。


:ウィリアム・シェイクスピア
演出:多田淳之介(東京デスロック)
演出補佐:藤岡武洋(シアターTACOGURA)
音楽:ハナカタマサキ
振付:山﨑モエ

出演
井上碧人、今井理恵、いりえのどか、岩松和賀、大関彩花、大沼花依、岡村 茜、尾﨑里美、川口 妙、楠瀬孝子
久保桐子、埇田凰紗、竹村妙子、谷川はる、中谷有里、西本陸空海、西森知佐、尾藤 心、藤岡武洋、前田梢
益田伊知郎、松 花菜、松澤知明、松村育美、南水杏俐、山﨑優希奈、山本日向汰、吉岡裕太、吉田優太

サポーター
浦野ダナ、越知りあな、川﨑弘佳、北村幸絵、土居加奈
松村和恵、三谷文江、吉岡裕太、和田陽南子

舞台監督:吉田剛治(高知市文化振興事業団)
美術:カミイケタクヤ
照明:魚森理恵
衣裳:松岡美江(見える工房)
宣伝美術:立木幹生
制作:田中希和(高知市文化振興事業団)、北村美由羽(高知市文化振興事業団)
鑑賞支援:松本志帆子(藁工ミュージアム)
音声ガイド:柴 千優
字幕:森岡ふみ
環境整備:吉岡いつか


日時2025年(令和7年)
10月26日(日) 13:30開場 14:00開演
※介助の必要な方、鑑賞支援サービスを受けられる方は13:15より入場できます。
会場高知市文化プラザかるぽーと 四国銀行ホール
入場料全席自由 前売り 2,000円 当日 2,500円 
※未就学児および入場に際して介助が必要な方の介助者1名は無料
チケット販売所・ローソンチケット(Lコード:61643)
・チケットぴあ(セブン-イレブン/Pコード:537-327) 
・高知市文化プラザかるぽーとミュージアムショップ(088-883-5052)
ローソンでの購入方法はこちら
セブン-イレブンでの購入方法はこちら
チケット発売日9月20日(土)10:00
主催公益財団法人高知市文化振興事業団
助成一般財団法人地域創造
協力高知市文化プラザ共同企業体
藁工ミュージアム・NPO蛸蔵(高知県障害者文化芸術活動支援事業)
お問い合わせ公益財団法人高知市文化振興事業団 088-883-5071

鑑賞支援サービスのご案内

①字幕タブレット端末貸し出し
②音声ガイド端末貸し出し
③舞台説明(開演前に行います)
①②については事前申し込みとなります。端末の台数に限りがありますので、チケット購入後、高知市文化振興事業団までお申し込みください。

お申し込み先
Googleフォーム
電話:090-9770-5221(松本)
FAX:088-879-6800
メール:info@warakoh.com

2025大阪・関西万博に向けた文化芸術ユニバーサル・ツーリズムプロジェクト連携プログラム
多田淳之介演出「真夏の夜の夢」鑑賞支援サービス事業
主催:一般社団法人全国手をつなぐ育成会連合会、独立行政法人日本芸術文化振興会、文化庁
協力:障害者の文化芸術活動を推進する全国ネットワーク
連携・協働:障がい者の文化芸術活動推進知事連盟